電子書籍への誘い vol.006で既報の通り、電子書籍閲覧ソフトMicrosoft ReaderのPC版が2000年8月8日にMicrosoft(以下MS)社のウェブサイトから無償ダウンロード出来るようになりました。これにより2000年5月に公開されていたPocket PC(旧Windows CEのWindows PoweredをOSとして搭載した基本的にキーボードがないタイプの携帯マシン)版に引き続き大画面で電子書籍を楽しめるようになりました。

 Microsoft Reader 1.5の対応OSはWindows 95/98/2000/NT4.0となっています。
 このソフトはClearTypeディスプレイ・テクノロジーという液晶ディスプレで見ると擬似的に解像度を上げ、より見やすくしているシステムが最大の売りになっています。

 拡張子がLITとなっている専用のファイル形式のみ閲覧可能です。
 Open eBook規格に準拠しているはずなのですが、その証明となる文章を見つける事が出来ませんでした。プレスリリースを見たりウェブページを見たり、ソフトをダウンロードしたりしていますが、ボクの咄い英語力ではどうしてもわかりませんでした。
 ただ、PowerPointのデモでMore informationとしてwww.openebook.orgがwww.microsoft.com/readerと共に載っていたので利用されているのは間違いないのではと思います。
 おそらくはOpen eBookにMS独自の暗号技術が組合わさっているのだと思われます。

 ちなみに、Open eBookというのは、Open eBook Authoring Groupが1999年9月21日にOpen eBook Publishing Structure 1.0としてまとめた電子ブック作成のためのHTMLとXMLを併用したような規格の事です。この規格の元々は1998年10月にMicrosoftによって提案された構想で、1999年5月にはドラフト案が発表されていました。これによりデスクトップからPDAまで様々なディスプレイサイズに対応したテキストの提供が期待されています。

 このReader、最初に世間にお披露目されたのは1999年8月30日にSan Franciscoで行われたSeybold Seminars/21st Century Publishingでのことでした。それから1年間いくつかの電子書籍関係の話題を振りまきながら、今ようやくその姿をPC上に表しました。

 現在の所は英語版のみのリリースとなっています。これから順次日本語やアラビア語に対応していく予定とのことですが、日本語版の登場は2001年の春になるとか。
 日本市場でも米国市場のbn.comの様にどこかと連動した動きを見せるのかどうかも興味深いところです。

 ただ、2000年5月に既に公開されていたPocket PC版のReaderでは暗号技術の関係で今回PC版向けに公開されている新しい電子書籍データは物によっては読めない場合があるとのことです。

http://www.microsoft.com/reader/

 米国の大手オンライン書店であるBarnes&Noble.com社(以下bn.com)がMicrosoft Readerに対応した電子書籍を販売するサイト、bn.com eBookStoreを同時に開設しました。このサイトはまず2000タイトルからスタートし、毎週150タイトルずつ追加する計画だそうです。
 このタイトルの中には新作の有料販売作品の他に古典など無料で配布されているものもあります。

 bn.com eBookStoreではMS Readerの形式の他に既に存在しているRocket eBookやGlassbook向けの電子書籍データも取り扱っています。

http://www.bn.com/ebook/

 Simon & Schusterは電子書籍でのみ販売されるSter Trekシリーズの新作を発表。これは先着2万名までプロモーション価格ということで、1冊1ドルで販売されるとのことです。Ster TrekシリーズはPocket PC版の時にも大きなプロモーションの力となっていましたが、それはPC版でも変わらないようです。

 2000年11月1日、米国Microsoftと日本の最有力書店の1つ紀伊國屋書店が電 子書籍に関して事業提携する事を発表しました。

 この提携は紀伊國屋書店のオンライン書店サイトBookWebにMicrosoftのDigi tal Asset Serverという電子書籍購入の際のセキュリティを高めるサーバを導 入し、Microsoft Readerに対応した電子書籍の販売を行うというものです。

 事業開始は2001年春頃から英語版が、2001年の半ば頃に日本語版の電子書籍 がBookWebから販売される予定ということで、まだまだ当分先に事ですね。

紀伊國屋書店インターネット仮想書店 BookWeb
http://bookweb.kinokuniya.co.jp/



電子書籍という潮流
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