電子書籍のメリット・デメリット

電子書籍のメリット

 紙の書籍よりもこんな利点があるよなんて事を書いていきます。
 メリットにはすべてデメリットがあります。しかしそのデメリット以上にメリットの方が大きいと思える事を書いていきます。

絶版がなくなる

 生まれては消えていく現代の出版業界。
 折角生まれた良書があまり人の目に触れぬままに世を去っていく。生まれるべき良書が生まれぬまま時が過ぎてしまう。
 そんな時代に電子書籍は生まれました。

 ほとんどの人が共通していう電子書籍のメリットの1つに絶版がなくなるという事があります。これは、紙という物理的な制約から解放された結果、絶版という行為そのものが意味を持たなくなると言われているからです。
 この絶版がなくなるというメリットを生かしたプロジェクトは紙の分野でもおきはじめています。

誰でも情報の発信者になれる

 情報は発信する所に集まると言われています。ほんの少し前まで、世界の動きなどを知るにはほとんどの場合新聞かテレビかラジオというマスメディアに頼らなければいけませんでした。そういう所がそれぞれのフィルターを通した情報を発信し、多くの人はただ受信するだけでした。
 そもそも、この電子書籍という潮流という企画自身もほんの少し前まで、いくら自分の中でこういう構想を持っていてもそれを発表する場がほとんどないため、多分構想だけで終っていたでしょう。
 しかし、WorldWideWebやMailMagazineというシステムや考え方の登場により情報を発信出来るのは一部だけという状況は終りを告げました。個人が開設しているウェブサイトのアクセスが100万を軽く越え、個人が発行しているメールマガジンの発行部数が1万部を優に越えるという事態が起こり始めたのです。

 多くの個人の作品の発表の機会が増えると言うことは、実力の低いプロはプロとして生活出来なくなるということではないでしょうか。これはある意味当然の事で、そしてそうあるべきだと考えています。

 書籍よりも優れたテキストが数多くWWWやFTP、パソコン通信などに存在していると思います。特にHTMLに関してボクは書籍を買ったことはありません。これは単純に書籍よりもWWWなどにあるテキストの方が優れていると判断しているからです。

変換が容易

 電子書籍ということは今まで紙に印刷されていたものが電子データで提供されるということです。電子データの最大のメリットは応用が容易であるという事だと思います。
 今までの書籍の内容を目が見えない人が知ろうとした場合、ボランティアが中心となり、点字を打つかテープなどに吹き込んでいました。しかし、技術の発達により電子データの文章をパソコンが読み上げる機能はだいぶ洗練されてきました。つまり、目が見えない人もほとんどタイムラグなく、また他の人の手を煩わせることなく本の内容を知る事が出来るようになったのです。また、一度電子データとして点字のデータが作れれば、点字プリンタを使って打ち出すことが出来、1冊ずつ人が打つよりも遥かの多くの人がその情報に触れることが出来ると思います。

紙の使用量が減る

 電子書籍が一般に広く普及すればその分紙の使用量が減るというのは短絡的すぎるでしょうか。
 紙の使用量は現在とんでもない量になっています。電子書籍が本格的に普及すれば、その使用量がいくばくかでも減り、その分紙となるべき森林が助かったり、また使用済みの紙を燃やす機会も減るのではないでしょうか。


電子書籍のデメリット

 当然電子書籍にはデメリットもあります。それを冷静に見つめる事で、それを克服していけたらいいなと考えています。

作品に偏りがある

 まだまだ実験段階という印象が拭えない理由の1つに作品の絶対量が少ないという事があります。当然想定されているのは紙の書籍の豊富さです。紙の書籍は日本語にしぼっただけでも何千/何万では全然効かない膨大な量が存在します。あらゆる言語ということになったら、それこそ想像も尽きません。しかし電子になっている書籍に数はまだまだ数えられる程にしかありません。電子書籍だけではまだまだ読みたい物がすべて読めるわけではありません。
 ただ、このデメリットは電子書籍全体で見たときには徐々に解消されていくと確信しています。本当に数が増えたときは紙の様な物理的制約がない電子書籍の方がより多くの書籍が存在するようになると思います。
 また、アマチュアが発表するための容易さでは紙とは比較になりません。その点においてもユニークな作品が電子書籍には集まる可能性があると思います。

表現力

 今のところ電子書籍閲覧のメインとなるのはパソコンのディスプレーだと思われますが、その表現力はどこをどうあがいても紙に勝るとは思えません。
 ただ、T-Timeのようなソフトウェアや電子インクの様な新技術などによりこの問題は徐々にではあっても解決していく問題だと思います。

名称の不統一

 この分野は『電子書籍』『電子本』『電子出版』『電子テキスト』『電子ブック』など名称の統一がなされていません。その結果、サーチエンジンなどの検索の際にロスが生じてしまいます。
 もっとも、それほどの不都合があるわけでもなく、大きな問題ではないと思います。

存在の不確実性

 電子書籍は電子の書籍です。つまり実体がありません。HDD等の中などにデジタル情報として記憶されています。もし記憶されている機械に故障がおきた場合、その電子書籍は2度と読めないかもしれません。

 インターネットの世界は移ろいやすい物です。今日ある物が明日あるという保証が出来ない世界です。欲しいと思ったものはその場で自分のHDDなどに保存しておかないと作者のウェブサイトにあるからいいやなんて考えていると次の日にはなくなっているかもしれない。そんなリスクが絶えず存在します。
 この事はある程度の数のリンク集を作った事がある人にはすぐに実感出来ることでしょうし、そうでなくても多くの人が実感しているのではないかなと思います。

 紙の書籍の場合本屋がなくなっても出版社がなくなったも書籍そのものは無くなりません。完売もしくは裁断しない限り手に入れる手段はあるでしょう。しかし、電子書籍の場合は手に入れる手段がなくなってしまう可能性が非常に高いです。


電子書籍という潮流
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